2013年4月17日水曜日

コケ研究:4.藍藻

藍藻…シアノバクテリアは、その名の通りバクテリア(真正細菌)。
珪藻、紅藻、緑藻などが全て真核生物なのに対して、もう生物分類の最も根幹のドメインからして異なる生物。

とはいえ、真核生物自体が、古細菌(アーキア)の器に真正細菌などを取り込んでいって成立したって言われているように、
ミトコンドリアが独自のDNAを持っていてルーツがリケッチアに近い真正細菌だと言われているように、
植物の葉緑素は、藍藻が取り込まれたものがルーツだって言われていて、
そういう点じゃ無関係ってわけでもない。

藍藻が最初の酸素発生型の光合成生物か否かってことについてはいろいろ言われているけど、少なくとも、酸素を使って代謝を行う今に至る目に見える生物のほぼ全て、動物、菌類、植物…なんかが成立しているのは、歴史的には藍藻が放出した酸素あってのはなし。
藍藻が存在しなければ、我々も存在し得なかったわけだ。
おー藍藻様!

そんな藍藻様だけど、たまに管理が悪いアクアショップとかで、藍藻に覆われた水槽を見かけると、本当にゾっとする。
まさに、「腐海に沈んだ」って感じ。
もちろん、いくら管理が悪いショップでも、最低限の手入れはしているのだろうけど、藍藻は環境が合うと、とてつもない増殖力なので、1日一度くらいの簡単な掃除じゃ、あっという間にまた底面を覆うほど増殖しちゃったりもするから、しょーがない。

青緑の毒々しい色もイヤだけど、なんといってもあの独特のドブ臭さはたまらない。水槽からあの臭いがし始めたら、鑑賞もなにもないよね。

藍藻類は、フィコビリンを持っていて、黒ヒゲなどの紅藻類同様に緑色の光を効率的に使用することが出来る。
つまり、黒ヒゲ同様に、B+YのLED照明とかは藍藻にとってかなり美味しい光ってことになる。

水槽内に藍藻が発生するのは、大抵は、ガラスとソイルの間に出てくるのが最初で、それも室内の光や外からの光が当たる場所。
つまり、藍藻を発生させたくなければ、横からソイルが見えないようにアルミテープとかで遮光しちゃうってのも手ですね。
…とは言え、やってみたのだけど、ガラス内を反射して上から数センチくらいのところには照明が届いちゃうので、そのあたりはどうにもならないけど。
やらないよりは遥かにマシだけど決定打にはならない。

最初にそういう場所に出ることからも分かるように、水槽内に出る藍藻の場合は、明らかに水流が苦手。
ガンガン水が流れているところには殆ど出てこない。
ヤツらは付着力が弱いから流されちゃうってのもあるかもしれないけど。

生物兵器については決定打はないですね~。
一部の貝が有望かも?ってくらいですか。レッドタイヤトラックスネールとか。
うちのラムズホーンも藍藻ナメますね。
モーリー・グッピー・プラティなどの卵生メダカやメダカが食べるっては私も見たことがありますが、ひもじい時にちょっと食べてみるっていう程度で、とてもじゃないですが、これらを使って殲滅できるなんて思わないほうがいいですね。
この点でいちばん「食べる」と言われているブラックモーリーは飼ったことがないのでなんとも言えないけど、プラティとかとたいして違わないんじゃないかと想像している。いや知らないけど。

やっぱり有効な手としては、世間で言われているように、
1.ごく初期なら、エクスタミン。
2.ある程度以上に酷いことになったら、最終手段としてはオキシドール(H2O2、過酸化水素)なんじゃないでしょうか。

ガラス面にちょっと出ているっていう状態なら、注射器(ダイソーの化粧品関連のところで売っている針付きのシリンジ)で吸い出して、その後エクスタミンを注射。
エクスタミンを使う時の注意点は…説明書読んで下さい。
ドバドバ掛けたりするとけっこう強い酸なのでキューバとかの華奢な水草を枯らします。
もっとも、大量直撃しなければエクスタミンを使った後はキューバとかむしろ調子良いのだけどね。…成分も殆ど肥料。

もっと酷ければ、直接噴射しないで水槽内にオキシドールを毎日少しずつ量を増やして徐々に入れていくってやり方が確実なのだと思います。
…使用量については、責任持てないので適当にネットを検索してみて下さい。
私自身は、以前に「もしこれ以上酷くなるようなら非常手段!」って思って薬局でオキシドールを買ってきたことはあるのだけど、やっぱり恐ろしくてやっていません。
うちの水槽(60)は今でも藍藻出てますが、幸い、ガラス面のところから上には殆ど出てこないので。

なぜ恐ろしいかというと、殆どの水草、魚、エビ、硝化バクテリアなどには、いっぺんに大量に使ったりしない限り殆ど問題はでないみたいなんですが、以下については、かなりの影響が出るらしいからです。
モス、シダの類。もちろんリシアとかもですね。
マツモ、浮き草など底床内に根を下ろさない水草。
貝類全般。
かなりの影響って、要するに溶けたり死んだり思いっきり弱ったりするってことですね。
こういうものが一切入っていない水槽なら、あるいはこれらを避難させる環境をつくれるのであれば最終手段としてチャレンジしてみるのもアリなのではないでしょうか。

リクツとしては、体内で反応してヒドロキシカルラジカル…強烈な活性酸素をつくって、殺すってことだと思います。…おそらく…たぶん。
ヒドロキシカルラジカルは、猛毒ですが、動植物の体内で常に出来ているもので、量が少なければ自身で処理する能力を持っています。
オキシドールは、反応しても水と酸素が残るだけで、薬剤が残留するってことはないので、その点では良いですよね。
いや、なにか良くない酸化物ができていて残ったりするかもしれないけど、少なくとも薬剤そのものは残らないわけです。

ちなみに、吸いだした藍藻が入ったプラケースに、世間で言われている量に相当する割合のオキシドールを入れて実験してみたことならあります。エクスタミンのようにあっという間に白く変色していくというよりも、かなり時間をかけてゆっくりゆっくり減っていくという感じです。

それとオキシドールは、水流に載せて徐々に規定量を入れていくべきで、「藍藻直撃!」とかスポイトでやったりすると酷いことになります。例えば、藍藻があるようなところは大抵は底面ですけど、ソイルにオキシドールが当たれば猛烈な泡を出しながら弾け砕けてドロになります。…ちょっと面白いですけど、遊ぶなら水槽内でやらないほうがいいですね。

なんにせよ、ひとまずは、吸い出す→エクスタミンなわけですが、
吸い出す作業は、大きめのベロペットと注射器の組み合わせが便利ですよ。おおまかに量を吸い出すならベロペット。ピンポイントで吸い出すなら注射器って使い分けて。
プロホースで水換えの時に吸い出すってのもありますが、ピンポイントで吸い出す力はやっぱり違うし、プロホースは他の水槽でも使うので、ちょっとイヤですね。出てない水槽にも持ち込んじゃいそうで。
水槽ごとに別々のを用意すれば良いのでしょうけどね。

それから低pHだと増殖しないとか言われてますが、どうなんでしょうね?うちは6.0切ってた時にも藍藻健在でした。
ただ、先人の多くが言っているのだから、実際低pHの方が増殖しにくいのかもしれません。
いちおうリクツとしては、藍藻は炭酸:H2CO3を利用できるのでCO2しか使えない多くの水草よりはpH高めの時に有利だってのはありますよね。
だとすれば、立ち上げの時に、ガラス面のところにピートモス入れちゃうとか、それだと見た目が悪ければ、ほとんどソイルみたいに見えなくもないエーハトーフペレット入れちゃうとかってのもアリなのかもしれません。
次に水槽を立ち上げる時はやってみるつもりです。

でも、既に出ちゃてるところでは意味無いとおもいます。
なぜなら、エーハトーフペレットを小さいネットバックに入れて給水口あたりに沈めておくってやることがあるんですけど、その中に藍藻が進出してきたことがありますからね。一度ある程度出ちゃったらダメですね。

あーそれから、結局バクテリアのニッチを奪えばいい・バランス崩せばいいのだから…って、市販バクテリアとか、納豆のネバネバ液とか注入してみたことがあって、一時的には「効いた?」って感じでかなり減少したように見えたこともあったんですけど、本当に一時的でした。気のせいかも。継続的にやれば、もしかして?ですが、正直オススメはできないですね。だってあまりに過剰に投入すると硝化バクテリアのバランスにも影響するんじゃないかとか、納豆液とかは枯草菌だけじゃなくて大豆の分解物も入れちゃう…ってことは、つまりは富栄養化を促してしまう…って思ってしまうので。チャレンジャーがいるなら是非結果を教えて下さい。

私としては、藍藻とは(他のコケもそうですが)あまり酷くならなきゃ付き合うさ。なにがなんでも徹底排除しようとは思わない。って、つもりです。

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