2016年10月30日日曜日

あらためてカルシウムの重要性

昨年だか一昨年だかの今頃にも書いていたと思うけど、
今回のグロッソのことで、やっぱりカルシウムは重要だなってあらためて思ったってことをメモ。

水草水槽ではカルシウムは嫌われ者ですよね。
pHを上げてしまう・GHを上げてしまう。
このあたりのリクツはあらためて書くまでもなく、湿地性の水草の多くは高いpHやGHが苦手ですよね。主にCO2の吸収効率に関わることですね。

カルシウムは、真新しいソイルには充分に含まれているし、水道水にも適切といえる程度に含まれている…北海道や東北や日本海側全般、中部地方の一部はかなり低めだけど…、だから水換えすればカルシウム供給にもなる。
石を入れて入れていて弱酸性に維持していれば、石からの溶出もある。
エサからも供給される。
だから、あえて添加する必要もない。
むしろ全体としては減らしたいくらいだ!
って考え方ですよね。

でも、
カルシウムと言えば、真っ先に注目すべきは発根。
リセット直後の真新しいソイルだと、例えば、ロタラが発根をはじめて数週間もすれば10cm以上かなりの根を伸ばしていくけど、
時間が経つに連れてだんだん根張りが悪くなっていって、半年とか1年とか経過すると、差し戻ししたロタラの根張りが悪くなって、数週間後にちょっと引っ張ってみただけで抜けちゃうなんてことはありませんか?
もちろんこれ、水槽環境によって違うから、なんとも言えないけど、うちではそういうことがよくあります。
ロタラとかは、水から栄養を取る分が大きいから良いのだけど、グロッソのように底床の栄養への依存度が高いものだと、
根張りの悪さ=成長不全になります。
根張りが悪くなる、ランナーの出が悪くなる、葉が黄色くなっていく…
もちろんこれ、鉄とかホウ素(ボロン)とか...も関係深いから一概には言えないけど、まずは・特に根に注目するなら真っ先にカルシウム不足を疑うべきですよね。
発根が止まる・著しく悪くなる≒土壌内のカルシウム不足のハズです。

カルシウムは、細胞壁を造るのに必要な要素で、カリウムや窒素やリンのように転流(古い部位から新しく必要な部位に栄養素を移動させること)されません。
なので、常に吸収し続けることが必要で、不足は即座に成長点に出ます。
つまり、根が成長しなくなるわけです。

ソイルは、陽イオン交換を行うので、水中のカルシウムを吸着します。
水草の足元に集めてくれるわけですね。
水のpHを下げて水草がCO2吸収しやすい状態をつくり、カルシウムは根から供給できる状態をつくれる。...もうほんとソイルはすごいです。
だから、水換えなどでの供給があって、ソイルが健全なら、不足は起こしにくいはずなのですけど、
ソイルの団粒構造が壊れて陽イオン交換能が落ちていれば、
入ってくるものと出て行くものの収支が合わなければ、
あるいは塩基バランスが崩れれば、カルシウム不足は起きるはずです。

収支が合わないというのは、水換えなどで水槽に入ってくるよりも、水草が使う量が...トリミングで排出される量の方が多い場合ですね。
成長力のある水草を大量に植えていれば、あり得ることです。
カルシウムは中量元素で、比較的消費量が多いものですから。

それから、塩基バランスが崩れるというのは、カリウム添加ばかり偏重して行っていると、あるいはさらに私のようにマグネシウム添加とかも行っていると、いずれバランスを崩して水草がカルシウムを吸収できなくなるということです。
カリウム、カルシウム、マグネシウムは、どれかが多すぎると植物はそればかりを吸収してしまい他を吸収しづらくなります。結果的に不足症状が出るわけです。
つまり少ないのが問題というより、他が多すぎるということですね。

水草水槽は、最初に欧州で発展したので、日本より遥かに...出来れば積極的に排除したいくらいカルシウムが水に含まれてるわけですよね。
だから欧州発の水草用の肥料にはカルシウムは添加されていない。
どうみてもアクアフローラそのもののOKOSHIにカルシウムが含まれていないのは、そういうことなのじゃないかと思います。

ということで、これからの方針ですが、
●比較的底床肥料が重要な種類の水草の葉色はもちろん、根張りをたまにはチェックしておく。
●炭酸カルシウムを少しだけ底床に入れておく。
炭酸カルシウムは、弱酸性の環境で ごくごくわずかずつ溶けていきます。
(中性やアルカリだと事実上溶けません)
それから根が出す根酸でも溶けますね。
遅効性のカルシウム肥料にするわけですね。
具体的には卵の殻をすり潰したものとか。
●即効で効かせたい場合はリキダスを使う。
リキダスは、黄化に関係が深い鉄やホウ素(ボロン)なども含まれているので丁度よいし。
●マグネシウムの添加量を今の1/3程度に落とす。

カルシウム不足って関係ない人の方が多いだろうけど、
以下のような場合は、たまには検討してみても良いのじゃないかと思います。

●グロッソのような底床肥料が重要で成長力のある水草が大量に入っている。
これらの根張りが極端に悪くなってきた。
さらには新芽が出ない、葉の黄化も見られる。
窒素やリンを含む肥料を底床に入れているのにやたらと育ちが悪い。
●グロッソ以外でも根張りの悪さが目立つ。有茎草が簡単に抜けてしまうようになる。
●とにかく成長力のある陽性の水草が大量に入っている。
●ソイルの団粒構造がかなり壊れてきている。さらには泥化が進んでいる。
●リセットから半年以上経っている。
●原水の硬度が著しく低い。
●カリウムやマグネシウム単独の液肥を...総合肥料ではない液肥を長期間使っている。

もちろんカルシウム添加をしすぎれば、今度はpHの上昇とかリンやカリウムなどが効きにくくなるなど歓迎できないことも起きるので、バランスを見ていかないと行けないわけですけど。

あーそうだ。今回のグロッソ対策で、最初に窒素・リンを含む液肥を与えた時に、一時黒ヒゲが出てきたけど、その後リキダスを使い始めてから急激に消えたのは、水中に漏れたリンがリン酸カルシウムになって不溶化したのではないかと思っています。
つまり、場合によっては黒ヒゲ対策にリキダスが使えるってわけですね。

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