2013年3月29日金曜日

アクアリウムにまつわるコトバ

1年半くらい前まで、アクアリウムにまるで興味がなかったのだけど、実際に興味がどんどん広がっていろいろ調べていく過程では、アクアリウム関連のコトバには戸惑いっぱなしだった。
もちろん今ではすっかり適応しちゃって、狭い世界の中で暗黙の了解の元に定義されるコトバ使いにすっかり慣れちゃって馴染んじゃってるのだけどね。
だから、誰かを批判する気はさらさら無いけど、ちゃんとコトバを整理しておくと何かの理解には役に立つはずだから。

まず困惑させられた言葉の筆頭は「コケ」。
コケといえば、コケ植物。
でも、アクアリウムの世界ではコケ植物のことはコケとは呼ばず、◯◯モスとかそんな呼び方をしている。
もちろん、日本語の苔って言葉には、地衣類とか藻類とかそういうものも幅広く含まれていたりするから、アクアリムの世界でコケと呼んでいるものをコケって言っちゃおかしいということはないけど、
でも、「生物についての・科学的な知識を披露してやるぜ」みたいなノリで書かれたものでも一貫してコケ植物のことをコケと言わず、それ以外を…「水槽内に汚れのように現れるやっかいな生物」のことだけを一貫してコケって呼ぶことには、どうしても違和感が拭えなかった。
そう呼ぶことに合理性がないわけじゃないってのは分かるのだけどね。
アクアリウムは鑑賞目的なんだから、その観点から見れば分かりやすい適切なくくりだもの。
それでも「小さな生態系をつくってみて楽しんでるんじゃないのか?」と思うと、ちょっとね…。
コケって言葉で、珪藻、紅藻、車軸藻、菌類、バクテリア…もうとんでもなく幅広い…昆虫と人間を一括りにするより幅広い範囲の生き物をひとまとめにしてしまっている。

バクテリア、細菌、菌類、微生物…とかの言葉の混乱も…そりゃ元の言葉が良くないから生物に興味ない人が混乱するのも当然なのだけど、「ニトロバクター」が云々とか書いておきながら、このあたりが混乱している言葉が次々出てくるのは、どうしても「なんだかな~」と思ってしまう。
それぞれまるで違う範囲を指す言葉じゃないか。
それに菌類って言ったらフンギのことで、酵母とかカビとかキノコとかじゃん。
まるっきりバクテリアと関係ない。

「生体」っていう言葉の使い方にも戸惑うよ。
実際は、魚とエビっていう意味で使ってることが圧倒的に多くて、植物は生体に含めないのだよね。
なら、動物って言えばいいのに。
もちろん、動物って言ったらほぼ哺乳類限定のニュアンスで捉える人も多いから、動物って言葉は使いにくいってのは分かるけど、だからといって生体なら良いということはないでしょー。
魚とエビって言えばいいじゃん。
ところで、あーいう言葉の使い方をする人にとって、カイミジンコとかはどっちに入るのかな?生体なのか?生体以外なのか?

水草についても、なぜ和名、あるいは現地での通称名を使わないのか?あるいは学名使うなら一貫して学名を使わないのか?
ロタラインディカと呼ばずキカシグサって呼べば、それだけで調べる範囲もかわって理解も深まるだろうに。スイレン鉢で越冬できるのは当然だとスグに理解できるだろうに。
いや、分かるけどね。
結局のところは流通名なんだよね。
キカシグサって呼んでしまえば有り難みが薄れるから。
現代のアクアリウムがどこで始まったのかってのもあるしね。

もちろん、一度そういう流れができれば断ち切るのは容易じゃない。
だって、アクアリウムに興味がある人に「キカシグサ」なんて言っても通じないことのほうがずっと多いはずだもの。
私も、最初はスゴク違和感を感じていたけど、今ではすっかり馴染んでいるのだけどね。ロタラって言わなきゃ会話が成立しないし。

結局、何が言いたいんだなんだけど、
��言ってみたかっただけだろう ってのは置いておいて…全く否定はしないけど)
それにどんな名前が付いているのか?本当はどう呼ぶべきなのか?って調べてみると、わかってくることがあるはずだよってこと。

例えば、「言葉の乱れ」みたいなことを指摘したい人っているでしょ?そういうことをしたいわけじゃない。
言葉は本質的に流動的で、キチンと定義するってことが本来は出来ないものだ。言葉の本質はメタファーの体系だから、いつでも定義したい人・意味を確定したい人の手をスルリと抜けていってしまうものだ。
だからこそ、言葉を使えばいくらでも新しい概念がつくるれるわけだし。
コミュニティ毎に、独特の言葉遣い:言葉の定義ができてくるのもそれは自然なことであって、そのコミュニティの中から見れば必ず何かしらの合理性を持っている。つまり、何かそのコミュニティにとって重要な点でその言い方が便利なんだよね。
実際、「水槽内に鑑賞目的の観点から見て汚れのように現れるやっかいな生物群集」のことを、「コケ」ってひとまとめにするのはとても便利だよ。

でも、アクアリウムっていう世界との際にあるところで、それを何と呼んでいるかっていうのは、知っておいてもそれほど損はないはずだし、いろいろ発見もあるはずなのだよね。
自然観察趣味、園芸、農業、水質管理、栽培漁業、生物、環境・生態系、化学… …

どこでも、中に居て中を眺めていると新しい発見って滅多に無いけど、際を見だすと、けっこうごろごろ発見があるものじゃん。

少なくとも私はいろいろ発見があったよ。
実際の水槽管理に役にたったかどうかは、なんとも言えないけど。
でも、発見がある方が面白いじゃん。

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