2013年4月15日月曜日

コケ研究:2.紅藻(黒ヒゲとか)

黒ヒゲなどの紅藻類は、黒ヒゲは出るにしてもあまり酷く悩まされたことはないけど、別の種類の紅藻類にはまだアクアリウムはじめて半年くらいのころに数ヵ月かなり悩まされたことがある。

珪藻は、緑藻や水草などとものスゴク系統的には距離がある生物って書いたけど、これが人間とキノコより遥かに遠い距離だとしたら、紅藻と水草や緑藻とかはもう少しは近い存在…それでも、人間とミジンコよりもずっと距離があるっていう感じ(?…なんかよく分からない表現になってしまった)。
なんにせよ、だから、いろいろと異なった性質を持っている。

ちなみに紅藻といえば、例えばおにぎりに巻く海苔とか、ところ天や寒天なんかの原料も紅藻ですね。その他いろいろな紅藻が食品や化粧品などに使われている。…黒ヒゲも食べてみたら美味いかも…食べないけど。

紅藻は、フィコビリンを持っていて、水草があまり効率的に使用できない…利用の優先順位が低い緑色の光を効率的に使用出来る。
ってことは、B+Y蛍光体の通常のLED電球とかは、黒ヒゲさんには美味しい光ってことになりますね。
またクロロフィルdを持っていて他の光合成生物のほとんど使えない遠赤外光も使える。メタハラとか遠赤外光を含んでますよね。
全体としては紅藻はかなり広い波長の光を使えるけど、特に水草が有効に使えない(使えないわけじゃないけど利用の優先順位がかなり低い)緑の光を優先して使えちゃうということなので、
リクツとしては、例えば、赤い光だけなら水草に有利に、相対的に黒ヒゲに不利になることになりますね。
赤色LEDだけで、水草育てたら黒ヒゲはあまり出ないのかな?…そんなことしないけど。
でも、赤色光の割合を増やす・緑の波長の割合を減らすってのは、意味があるはずです。

紅藻類は、けっこう複雑な形をしていて機能分化がそこそこ進んでいるように見えて、実は体の構造は極めて単純。ただの細胞の羅列。
また鞭毛を持った細胞も見つかっていない。つまり運動能力・水を積極的に動かす能力が無いわけです。
黒ヒゲは、水流が全く無いところには出ない。水流があるとよく育つとか言われていますが、きっとこういう構造が関係あるのでしょう(?)
水流が無いと養分の取り込みも殆どできないのじゃないかと。
… 専門家ではないわたしの想像でしかないですけど。

体は、(黒ヒゲを調べたという例は知りませんが、ネットをふらついて見つかる限りの例だと)、緑藻などと比べて、窒素の割合が極めて高く、リンも若干多いらしいです。炭素の割合は相対的に低い… ってことらしいです。
やっぱり水中の窒素分が主なエサ?
ただ、実際の水草との栄養取得の競争関係については、単純にこれだけで答えは出せないので、やっぱり世間で言われているように、リンが鍵なのかもしれません。
要するに分からないってことですね。
なんにせよ「イニシャルスティックを入れたら黒ヒゲが消えた」なんてはなしもたまに聞きますよね。
これってきっと、カリを増やして水草に水中の窒素やリンの利用を促すことで黒ヒゲの栄養を奪うってことなんでしょうね。

黒ヒゲが出てくるのは、ほとんどが栄養豊富なソイルを使った時のセット初期か、ソイルの泥化が目立つようになるような末期ですね。
出てくる場所は、うちの場合は、水流がぶつかっているところの古い固い葉。具体的にはグロッソやヘアーグラスの古い葉であることが圧倒的に多いです。世間の例を見ていると排水口のところや水が当たっている流木にもよく出ていますね。大磯を底床に使っていると底一面黒ヒゲなんてオゾマシイ写真も時々見かけますけど。
pHが関係しているのか硬度が関係しているのか、その他なのか、そのあたりはよく分からないけど、きっとソイルの吸着効果が関係あるのでしょう。
pHは、紅藻類が多くの水草が使えない炭酸:H2CO3を使えることを考えたら、無関係とは言えないですよね。
pH高めの方が紅藻類には水草との競争という点では有利でしょう。
逆に水槽の管理者としては、pHは低めにしておくべきってことになりますね。

対処法としては、よく木酢液を使って殺す例が出てきます。
わたしも、(黒ヒゲじゃないけど)紅藻類に悩まされた時はやってみました。確かに直接噴射したりすると、あっという間に白っぽく色が変わって、その後は見向きもしなかったエビがよく食べる…ってなりますが、やっぱりこれじゃ埒が明かないですよ。
石や流木とかなら良いのだけど、葉が薄めの水草は明らかに影響が出るし、そうじゃなくても気持ちよく使ってればエビが落ちるし。部屋は木酢液臭くなるし、結局、やっつけ切れないし。
これはある程度酷いことになっちゃった時に、石や流木やパイプなんかを処理するのに使えるってだけくらいに思っておいたほうが良いのじゃないでしょうか。

生物兵器ですが、アルジーライムシュリンプが食べるとかありますが、うちでも入れたけど、効果はまったく不明です。もともと黒ヒゲも少ないし見かけたらスグにカットしちゃうので。
いろいろ見てても、「他に食べるものがなければ食べる」くらいみたいですね。とても有効とは言いがたいです。
少しは期待できそうなのは、一部の貝…レッドタイヤトラックとかですが、私自身は使ったことがないので、あくまで「食べるらしい」です。

私の場合の対処方法は、

1.出ているところが前景草とかで、それが厚みをもっていて底が汚れているようなら、トリミングして薄くして、残餌とかのゴミを掃除します。トリミングするのは、(さっき書いていることと矛盾するようですが、)水が底床面にも当たってないと分解が滞ったり、ヘンに養分が濃いところができるので、水回りを良くするってこともあります。
他にも水流の問題で、残餌などが溜まるような場所があれば、そこを掃除です。またフィルターやパイプも酷く汚れていたら掃除します。
以前に紅藻が出た時は、ミクロソリウムの塊の根本がけっこう汚れていたんですけど、こういった場所を掃除、あるいはまるごと排除して、してパイプも掃除したら消えたってことがあるので。
確かに、黒ヒゲは水流がないと育たない、水流が強いところから出がちなのですが、水流をやたらと弱めてしまうってのは、水槽の代謝を落とすことになるので、やたらとやらない方が良いと思います。水回りは大事です。
もちろん、水が集中的に当たるところがあって、そこからいつも黒ヒゲが出てくるというのであれば、レイアウトか水回りを見なおしたほうが良いでしょうけど。

2.水草に出ているのを発見したら、躊躇なくひたすらカット、カット。
カットにまさる対処法はないと思っています。
私は、ちょっとでも黒ヒゲっぽいのを見かけたら、即カットです。
ついでに黒ヒゲが出た周囲の成長を止めた古い葉もカットカットですね。

3.出ているところが、石や排水口とか取り出せるものなら、取り出して木酢液で処理。ソイルとかなら取り出して捨てるだけです。

もちろん繰り返し書いているように、私の考え方の基本は、コケを減らす・撲滅させるというよりは、活性の高い水草を大量に育てる。…常に水草の優位をつくるということです。

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以下、勢いで一気に書いちゃったけど、
読みなおしてみると、なんというかなんなので、
無視、またはペロンペロンと適当にあしらっておいてください。
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「対象となるコケが苦手とすることを徹底的に行なって殲滅する」…例えば、光量を落とす・完全遮光するとか、肥料を制限するとか、水流を抑えるとか、やたらと潅水量を増やすとか… そういうアプローチには原則反対です。
もちろんこういうのはバランスの問題ですから、光量や肥料の量の「バランスを取る」ことは大事ですけど、バランスを取ることと、ひたすらコケを弱らせることだけを考えるのは、大きく違います。
結果的には水草も弱らせてドツボにハマる道です。
換水しすぎれば、硝化バクテリアなども弱らせます。
殆どのコケは、水草よりもずっとアンモニア態窒素を喜びますしね。
そうなれば、水中の窒素量全体は減らせても、結果的にはコケ優位にしちゃいますよね。
完全遮光とか、光合成を阻害する薬剤を入れちゃうとか、スグに完全消毒・完全リセットとか。そういうのは…ね~。

こういうアプローチを取る心理の奥には、病気に対する対処のイメージがあるのではないかと思います。
徹底的に消毒する、抗生物質などで菌を殺す…。
悪者をやっつければ解決っていうアメコミみたいな発想。
たしかにヒジョーにたちの悪い相手…新種の強毒のインフルエンザとか…には必要な考え方です。
でも、そういったものと、コケや大抵の水槽内で起きる病気は違います。
何が違うって、コケとかは常在しているもので、バランスのとりようがあり得るものだから、全体が健康なら防げるもののはずだからです。

病原菌が宿主を殺してしまったら、自分たちも増えることができなくなります。
強毒化するものは、どんどん変異していくその速度が生み出すバリエーションが創りだしたり、人間がこれまで入っていっていなかった環境に踏み込むことで、こちらから接触してしまったり…そうやって恐ろしい病原菌が登場するわけですが、こういうものは、つまりは環境不適応なわけです。だって自身の生存環境をさっさと壊しちゃうのだから。

だから実際、例えばエイズウィルスとかも、だんだん人を簡単に殺さない方向に進化しているわけですね。共生の道を探っているわけです。
さっさと殺しちゃったら次の感染先は見つからない可能性が高いわけで、そうなったらウィルス自体がジエンドです。
いや、もちろんウィルスの「意志」っていうよりは、スグに人を殺しちゃうウィルスは淘汰されてしまう、スグに殺さないものが、より感染を広げられるので生き残りやすいということなわけですけど。
実際、古代のエイズと言われている成人T細胞白血病は、キャリアになってもほとんど発病しない。発病するにしてもかなり高齢になってから…ってなっているわけですよね。今では。

話がそれたけど、こういう特異な存在であるたちの悪い病気のもとと、当たり前に常在している連中…本来共生しうるところまで既に来ている連中は分けて考えるべきです。
常在菌をとにかく殺そうってのはナンセンスで、それ以前に体を・水槽を健康にしましょう。健康なら感染しても病気にはなりませんよ。ってことです。

もちろん、ある程度以上バランスを崩す…たとえそれが常在しているものでもやたらとバランスを崩して増えすぎて…体調をくずしてしまったら、時には一か八か強硬手段に訴えないと、崩壊を免れないところまでいくことはあります。
だから、強硬手段を全否定するつもりはありません。

それでも、水槽全体の体力を根本的に奪ってしまうような手段は最後の最後にすべきハズなんですよ。

コケだけをピンポイントで攻めるってのはとても難しくて、結果的には必ず他の生体…水草なども弱めてしまう。そうなれば、たとえ目的のコケを殲滅できたとしても、スグにまた他のやっかいものを呼び込むことに繋がるはずなんですよね。それでまたそいつを攻撃すると…
もうデフレスパイラルですね。

とても分かりにくいかもしれないし、曖昧な態度だと思われるだろうけど、私としては、
人に伝わるのは、人を動かすのは、白黒はっきりつけた明快なメッセージ、
自らが選択する現実の判断として価値が有るものは、外から見たらグレーにしか見えないようなことになる…特に水槽のような複雑系を相手にする時は...と思っています。

水槽とかあまりいじらない人のほうが上手くやっているってのはよくあることですし、
健康オタクでいろいろやりまくる人が、よく病気になってたりもよくあることですね。
…もちろん、何も起きないからいじらない、病気になりがちだから健康っていうキーワードの過剰に反応するってのもあるでしょうけど、対処し過ぎが不調の原因としか思えないケースもかなりあるってのは確かですね。

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